
誰もが知っているあの物語のお話シリーズ
「枯れ木に花を咲かせましょう〜」や「ここ掘れわんわん」
このフレーズでも有名な昔話、花咲か爺は皆さん知っていると思います。
でも、この物語は悲しい実話から生まれていたのです。
桜を見るために、花見の時期になると隣の村や遠くの山を越えた村からも沢山の人が訪れ、観光地として賑わっていました。
うわさを聞きき訪れた、殿様も感動して毎年の行事にしてしまう程でした。
村の人達も人が良く、沢山の人に村の自慢の桜を見てもらいたく、多くのお金を取ることもせず歓迎していました。
しかし、花見のシーズンは一時のもの、
その村では他に特産物等はなく、花見の時期に旅行者や観光客から得た僅かな収入で一年間を細々と生活をしていました。
そんな村で生まれ育った一人のお爺さん、
この桜をいつでも見て欲しいという思いで時期外れにも花を咲かせる研究を村はずれでお婆さんと二人でしていました。
村の人達も、花見のシーズンが増えれば村での生活が楽になるため、お爺さんの研究を応援していました。
二人だけで篭っての研究は寂しかろうと村人がちょうど迷い犬として現われた白い犬をお爺さんとお婆さんにプレゼントしたのでした。
老夫婦はその一匹の白い犬を家族同様に可愛がり2人と1匹の桜の研究は行われていました。
そして長い年月の研究の末、季節はずれの桜を咲かすことが出来ました。
毎年訪れていた殿様の耳にもこの話はすぐに届き、お爺さんには沢山の褒美が送られました。
村の皆からも「花咲か爺」と親しまれ、村は発展していくと思われたのですが、中にはお爺さんの成功を素直に喜ばなかった村人も居たようです。
殿様から貰った褒美をお爺さんは村の人達皆平等に分け与えていました。
ですが、本当はもっと貰っているのを隠しているのだろうと妬み、
遂にはお爺さんとお婆さんを殺してしまうのでした。
そしてお爺さんの家のすぐ横にあった研究途中に枯れた桜の木の下に
二人の死体を生めたのでした。
村はずれの桜の木の下を、白い犬が
「ここ掘れわんわん・・・ここ掘れわんわん・・・」と言うように
悲しそうに掘り続ける姿を村の皆が知るのは暫く経ってからでした。
村の皆に手当てを受けた白い犬でしたが、飲まず食わずでずっとお爺さんとお婆さんを掘り続けていた為、まもなくして衰弱しきって死んでしまいました。
不憫に思い、お爺さんとお婆さんと白い犬のお墓を経て、桜の木で出来た臼を祭ったと言います。
お爺さんが死んでしまった頃から桜は美しさも陰り、季節はずれの桜も咲くことは無く、村は自然と消滅してしまったと言われています。
もしかしたらまだどこかの山奥には3つのお墓と臼を祭る祠があるのかもしれません。
これが、花咲か爺の悲しい物語です。
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